ラミニン511の酵素分解断片であるラミニン511-E8フラグメントと同じ配列の組換えタンパク質です。表皮細胞や血管内皮細胞だけでなく、iPS、ES細胞などの幹細胞の培養用基材としてお使いいただけます。ES/iPS細胞を培養する場合には、フィーダーフリー、シングルセル継代が可能です。

Matrix-511を利用した細胞培養の準備は、非常に簡単です。リン酸緩衝液などで希釈したラミニン511-E8をシャーレに注ぐだけで表面にコーティングすることができ、培養直前に培地に置換することで、準備が完了します。

iMatrix-511とは

図1. ラミニン511-E8 の模式図

iMatrix-511は、ラミニン511の酵素分解断片であるラミニン511-E8フラグメントと同じ配列をもった組換えタンパク質です。ラミニンは、他の細胞外マトリックスと共に、薄い膜状の基底膜に存在しているタンパク質で、α鎖、β鎖、γ鎖の3つのパーツから構成されており、それらの組み合わせによって、15種類の存在が知られております。(図1、関連文献1)。 その中でも、α5鎖、β1鎖、γ1鎖から成るラミニンをラミニン511と呼んでいます。細胞は、細胞外マトリックスを認識する受容体であるインテグリンを持っており、この受容体を通じて、細胞の接着や伸展、増殖などに関わる様々なシグナルが伝達されます。主に、ラミニン511を認識する受容体は、α6β1インテグリンで、α6β1インテグリンがラミニン511を認識するためには、特にラミニンα5鎖の球状ドメインとラミニンγ1鎖のカルボキシル末端側のグルタミン酸が必要です(関連文献2、3)。ラミニン511-E8は断片でありながらも、ラミニン511全長分子と同様、α6β1インテグリン結合能を有しています(関連文献4)。

iMatrix-511の使用例

図2. iMatrix-511上で培養したヒト皮膚表皮細胞と血管内皮細胞の接着と伸展

iMatrix-511は、表皮細胞や血管内皮細胞だけでなく、iPS、ES細胞などの幹細胞を培養できる基材です。(関連文献5)。iMatrix-511を利用した細胞培養の準備は、非常に簡単です。リン酸緩衝液などで希釈したラミニン511-E8をスライドガラスやシャーレに注ぐだけで表面にコーティングすることができ、培養直前に培地に置換することで、準備が完了します。ラミニン511-E8上で、表皮細胞と血管内皮細胞を培養した結果を図2に示します。
表皮細胞は、何もコーティングしていないシャーレ上では、ほとんどの細胞が接着していないが、ラミニン511-E8上では、多くの細胞が伸展接着していた。また、血管内皮細胞は、何もコーティングしていないシャーレ上でも接着しているが、丸い状態の細胞が数多く観察された。一方で、ラミニン511-E8上では、丸い状態の細胞はあまり観察されず、ほとんどの細胞が良く伸展していた。
このように、ラミニン511-E8を利用することで、様々な種類の細胞の接着や伸展を促すことが可能です。

使用方法

関連文献

  1. Ido H, Nakamura A, Kobayashi R, Ito S, Li S, Futaki S and Sekiguchi K.
    The requirement of the glutamic acid residue at the third position from the carboxyl termini of the laminin gamma chains in integrin binding by laminins.
    J. Biol. Chem. 282, 2007 Apr 13;282(15):11144-54.
  2. Taniguchi Y, Ido H, Sanzen N, Hayashi M, Sato-Nishiuchi R, Futaki S, Sekiguchi K.
    The C-terminal region of laminin beta chains modulates the integrin binding affinities of laminins.
    J. Biol. Chem. 2009 Mar 20;284(12):7820-31.
  3. Miyazaki T, Futaki S, Suemori H, Taniguchi Y, Yamada M, Kawasaki M, Hayashi M, Kumagai H, Nakatsuji N, Sekiguchi K and Kawase E. Laminin E8 fragments support efficient adhesion and expansion of dissociated human pluripotent stem cells.
    Nat. Commun. 2012 Dec 4;3:1236. doi: 10.1038/ncomms2231.

製品ラインアップ

製品名製品番号容量価格
iMatrix-511 (溶液品: 0.5 mg/mL)892011350 µg (175 µg x 2)¥28,000
8920121050 µg (175 µg x 6)¥72,000
iMatrix-511 silk (溶液品: 0.5 mg/mL)8920211050 µg (175 µg x 6)お問合せ

“iMatrix-511”と“iMatrix-511 silk”の違い

同じヒトラミニン511E8断片の遺伝子を組み込んでいるので、同等のインテグリン結合活性を有し、iPS細胞の作成及び維持培養も同等に行えます。iMatrix-511 silkは、遺伝子組換えカイコ生産系の特徴である高い生産性が生かされた結果、低価格での販売が実現しました。

iMatrix-511iMatrix-511 silk
製品コード892011:350 µg892021:1050 µg
892012:1050 µg
製品グレード試験研究用
原料CHO-S細胞カイコ繭
製品容量350µL / tube (濃度:0.5µg / µL)
製品形態溶液
保存温度冷蔵(2-15℃)
有効期限製造後2年

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